統計検定 1級 2023年 統計応用(理工学) 問2 解答 解説

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[1]

\(E[X]\)

\(E[X] = \displaystyle \int_0^\infty x \frac{x}{\sigma^2} e^{-\frac{x^2}{2\sigma^2}}dx \)

\(\displaystyle \frac{x^2}{2\sigma^2} = s^2\)とすると、

\(= \displaystyle 2\sqrt{2}\sigma \int_0^\infty s^2 e^{-s^2}dx \)

下記のサイトを参考にガウス積分を行うと、

ガウス積分の公式の2通りの証明 | 高校数学の美しい物語
1次元のガウス積分の公式を導出します。重積分を用いる方法とガンマ関数を用いる方法を解説します。

\(= \displaystyle \sqrt{\frac{\pi}{2}}\sigma \)

中央値

中央値\(x_{median}\)は、

\(\displaystyle \int^\infty_{x_{median}} \frac{x}{\sigma^2} e^{-\frac{x^2}{2\sigma^2}} = 0.5\)

\(\displaystyle \left[ -e^{-\frac{x^2}{2\sigma^2}} \right]^\infty_{x_{median}} = 0.5\)

\(\displaystyle e^{-\frac{x_{median}^2}{2\sigma^2}} = 0.5\)

\(\displaystyle x_{median} = \sqrt{2 \ln 2} \sigma\)

最頻値

中央値\(x_{mode}\)は、

\(\displaystyle f'(x) \propto e^{-\frac{x^2}{2\sigma^2}} -\frac{x^2}{\sigma^2}e^{-\frac{x^2}{2\sigma^2}}\)\(\displaystyle = \left(1-\frac{x^2}{\sigma^2}\right) e^{-\frac{x^2}{2\sigma^2}}\)\(=0\)

として、\(x_{mode}=\sigma\)

[2]

\((U,V) \to (X, 〇)\)への変換が2変数から2変数へ1対1対応するように変換することを考えると、

\(\left\{ \begin{align} &U =X \cos \Theta \\ & V = X \sin \Theta \end{align} \right.\)

と変換すればよい。ヤコビアンは\(x\)なので、\((X,\Theta)\)の同時確率密度関数\(f(x,\theta)\)は、

\( f(x,\theta)\)\(\displaystyle =\frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^2}}e^{-\frac{x^2 \cos ^2 \theta}{2\sigma^2}}\cdot\frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^2}}e^{-\frac{x^2 \sin ^2 \theta}{2\sigma^2}} \cdot x\)

\(\displaystyle =\frac{x}{2\pi\sigma^2}e^{-\frac{x^2}{2\sigma^2}}\)

\(X\)の周辺確率分布を求めることで、

\(\displaystyle f(x) = \int^{2\pi}_0\frac{x}{2\pi\sigma^2}e^{-\frac{x^2}{2\sigma^2}}d \theta\)

\(\displaystyle= \frac{x}{\sigma^2}e^{-\frac{x^2}{2\sigma^2}} \)

[3]

同時確率は、

\(\displaystyle f(\boldsymbol{x}) = \prod_{i=1}^n \frac{x_i}{\sigma^2}e^{-\frac{x_i^2}{2\sigma^2}}\)

\(\displaystyle \ln f(\boldsymbol{x}) = -2n \ln \sigma +\sum_{i=1}^n \ln x_i \)\(\displaystyle-\frac{1}{2\sigma^2} \sum_{i=1}^n x_i^2\)

\(\displaystyle \frac{\partial \ln f(\boldsymbol{x})}{\partial \sigma} = -\frac{2n}{\sigma}+\frac{1}{\sigma^3} \sum_{i=1}^n x_i^2\)\(=0\)

として、

\(\displaystyle \hat{\sigma} = \sqrt{\frac{1}{2n}\sum_{i=1}^n x_i^2}\)

[4]

\(\hat{\sigma}\)

\(\displaystyle \hat{\sigma} = \sqrt{\frac{1}{2n}\sum_{i=1}^n x_i^2}\)

\(\displaystyle = \sqrt{\frac{89.96}{2 \times 10} }\)

信頼区間

\(X^2 = Y\)と変数変換をすると、確率密度関数\(h(y)\)は、

\(\displaystyle h(y) = f(\sqrt{y}) \left | \frac{d x}{dy}\right|\)\(\displaystyle = \frac{1}{2 \sigma^2}e^{-\frac{y}{2 \sigma^2}}\)

これより、\(Y\)は指数分布\(\displaystyle \rm{Exp}\left(\frac{1}{2 \sigma^2}\right)\)に従う。

さらに、\(\displaystyle W = \frac{1}{ \sigma^2} Y\)と変数変換すると、確率密度関数の形から\( W\)\( \displaystyle= \frac{1}{ \sigma^2} Y\)\(\sim \rm{Exp}(1/2)\)\(\sim \chi(2)\)と自由度\(2\)のカイ二乗分布に従う。

また、カイ二乗分布の合成性から、\( \displaystyle \frac{1}{ \sigma^2} (X_1^2 +\cdots + X_n^2)\)\(\sim \chi(2n)\)と自由度\(2n\)のカイ二乗分布に従う。

今回は、\(n=10\)、\(X_1^2 +\cdots + X_n^2 = 89.96\)なので、付表の自由度\(20\)のカイ二乗分布のパーセント点を参照して、

\(\displaystyle P\left(9.59\leq \frac{89.96}{ \sigma^2}\leq 34.17\right) = 0.95\)

括弧内を変形することで答えを得る。


コメント

  1. 匿名 より:

    [3]ですが推定値ではなく推定量なのでxiよりXiの表記じゃなくて大丈夫でしょうか?

    • SATO より:

      確率変数は\(X_i,\)確率変数の実測値は\(x_i\)というように使いわけており、今回は確率変数の実測値をもとに\(\sigma\)を推定するので\(x_i\)で表記してます。(間違ってましたらご指摘ください。また、有識者の方コメントいただけると幸いです。)

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